【中央教室】“師管(しかん)”はなんで“師”と書くの?

虹の風 学修館 中央教室の廣野です。

中2クラスで理科の「※植物」の授業をしていたときに、生徒からふと疑問が上がりました。
(※学習指導要領の変更に伴い、かつて中学1年生で学んでいた「植物の葉・茎・根のつくりと働き」の内容は、中学2年生に移行されました。)

「“師(し)管(かん)”はなんで“師”と書くの?」
師管というのは、葉の葉脈の中にある、葉で作られた養分を運ぶはたらきをもつ管のことです。葉脈の中にはほかに、水を輸送する「道管」もあります。
「“道”管」のほうは何となくわかるが、「“師”管」はなぜ「師匠」の「師」なのかわからない、という疑問です。

「師管」の名前を聞いたことがあり、その役割を知っている人は多いと思いますが、みなさんは、「師」と書く理由をご存じでしょうか。

正しい意味を知れば名前の理由がわかる!

実は「師管」は本来「篩管」と書くのですが、「篩」という字が常用漢字でないため、中学の教科書では「師」が使われているのです。
「篩」は音読みは「シ」ですが、訓読みでは「ふるい」と読みます。
「ふるい」は、粒状のものを入れて振って、小さい穴を通る細かいものをより分ける道具のことですね。
一方、「師管」は細胞がつながってできているので、その境目に細胞壁があるのですが、その断面は次のような形をしています。

このように小さな穴がたくさんあって、ふるいの形に見えることから、「篩管」と呼ばれるようになったのです。葉で作られた養分はこの穴を通り、全身に運ばれていくのです。

こうした画像を見せることで、生徒たちは「師管」と書く理由を理解できたようです。
もちろん、このようなことを知らずとも、「師管」は養分の通り道だ、とだけ覚えておけば一般的なテストの点数はとれると思います。
しかし、この疑問の答えを知ることで、生徒たちは用語の意味だけでなく、師管の形のイメージを正しくもつことができたはずです。

素朴な「なぜ」「どうして」を大切に

イメージを正しくもつことは、自然の事象を的確にとらえ、理解するための重要な礎(いしずえ)となります。一問一答の単純な問題だけでなく、応用的な問題でも力を発揮しやすくなることが期待できます。また、今回のような疑問を追究する姿勢そのものが、「学び」を受動的なものから主体的なものへ変えていくのです。

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